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ナンバデッドエンド 1巻 小沢としお

週刊少年チャンピオンで連載中の、名作ナンバMG5の続編にして最終章の1巻。

知らない人のために簡単なあらすじを書いておくと、ヤンキー一家に育った主人公・難破剛は高校入学を期に、家族に隠れて真面目な生徒として生活を送るが、友の危機や、腐った外道どもには、特攻服を着込み拳を振るう。
そんな話。


あとがきで小沢先生も書かれていたが、もともとこの作品ナンバMG5はコメディ色の強い作品として始まった。
ヤンキーのエリート一家に生まれ、カリスマヤンキーとして生きてきた剛が、真面目な(作中の表現を借りれば「シャバい」)高校生活を送るために悪戦苦闘するという、ヤンキー一家難破家の異常な行動や価値観、それに反して実は真面目に生きたい剛、という設定はギャグマンガ「エリートヤンキー三郎」を髣髴とさせる。


しかし、ここにもう一つの要素が加わる。
「変身ヒーロー」という要素である。
剛は友達が揉め事に巻き込まれたときなど、特攻服に着替え、髪を逆立てる、すると登場人物たちは誰一人それが剛だと気づかない。
そして次第に圧倒的な強さをもつ特攻服の男、通称「特服」は噂となるが、普通の青春を送る剛はそれを知られてはならない。

普段は冴えない主人公が変身すると圧倒的な強さで悪人どもを倒してゆく、しかも正体がばれてはいけない、まさしく変身ヒーロー物の基本がナンバMG5にはあった。


この変身ヒーローとしての要素が、逆に一般人になりたがるヤンキーというギャグのためのような設定の違った意味を浮かび上がらせたと思う。
それは「逆説的な形での不良漫画」という面である。

剛は、中学まで親や周りの期待にこたえるべく「素直に」最強のヤンキーとしての道を歩んできた。
しかし高校入学の際、隠れながらも(おそらく初めて)両親に対する反抗をする。
それが「真面目な生徒として学校生活を送る」ということである。

親に敷かれたレールを疑いもせずに進んでいた主人公が新たな世界を目にし、初めて親に反抗しながらその世界に踏み込んでいく、というのは不良漫画でも王道といえる展開だろう、ただこのマンガではその不良であるということと、真面目であるということが逆転してしまっているのである。

しかもここでポイントとなるのが、この真面目な生徒として生活したいという剛の望みの根本は「普通の青春を送りたい」という個人的かつふわふわしたものであるのに対し、家族が望むヤンキーとしての剛は「全国制覇」という具体的な目標があるという点である。

実際にヤンキーでいるメリットなどは、世間的にも将来的にも無いといって差し支えないと思うが、こう対比することで、家族や周りが期待する目標を、自分の小さな望みのために投げ出すという後ろめたさのような物を巧く描くことに成功している。

また難破家自体も、登場人物たちもいうようにヤンキーであるということ以外は、とても良い家族であり、剛はそれをだまし続けている罪悪感というのもMG5でたびたび描かれてきた。


つまり剛にはシャバい剛が特服と知られてはいけないという変身ヒーローとしての秘密と、カリスマヤンキーの剛がシャバい格好で高校生活を送っていると知られてはいけないという逆説的不良漫画としての秘密、という二つの秘密があった。
これはMG5時にもときどき強調されていたが、必ずしも毎回のテーマというわけではなかった。

そこで、その秘密を抱える悩みや、秘密が露呈して起こる問題に奮闘する剛を物語の真ん中に据えて描いているのが、このナンバデッドエンドである。



第1巻の内容は、特服として隣の市松高校のアタマになっている剛が、白百合高校の生徒会長となるところから始まる。
この生徒会長就任によって、いままで地味な美術部員でしかなかったシャバ剛が、シャバい状態でも周りから注目されるポジションになった。
つまり、特服剛=スーパーマン、シャバい剛=クラーク・ケント状態を脱し、同等の二面性をもつ状態になったといえるだろう。

さらに、上で述べたように「ヒーロー物」としての要素が、このシリアス展開の口火になったと思われるが、逆にシリアス展開になったのに合わせるかのようにヒーロー物としての要素は少なくなっている。
現に今までは、変身(着替え)のシーンさえ見られなければ、特服=剛であることはバレなかったのだが、DEになってからはだんだんとその不文律が通用しなくなっている。
正直このままいけば、特服状態でも顔や声でバレないとも限らない。


実際このマンガは全て(もしくは必要な幾人か)のキャラクターが、特服=シャバ剛であることを理解した時大団円を迎えるのだろうが、そこにいたるまでの道のりが現在まででも既に、キリキリと胃が痛みそうな追い詰められ方である。


しかし一巻を読んで、雑誌掲載時に読んでて内容は知っているはずなのに、はらはらが一向に減らずに読めたというのは、このマンガの面白さが、続きを気にならせて…などという矮小なものでは無く、小沢先生の演出力、否、漫画力に支えられているものだと痛感した。


正直、現在程度の知名度なのがありえないほどの傑作。
MG5全18巻、そしてデッドエンド、全て買っても損することは無いと断言するッッ!!


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ネタなんだかマジなんだか解らない、馬鹿格好良いマンガやらメタルやらを好みます。

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